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森絵都さんの【永遠の出口】から。

千佐堵は正しい。立派で、尊敬に値する。けれどもどこかが決定的にずれている。私はその日、千佐堵に顔を上げろと言われるたびにそのずれはなんなのか考えた。
 それでも私は家庭と同様、学校でもなんとか折り合いをつけていくつもりでいたのだ。多少のズレには目をつぶり、千佐堵の発言にうなずいて、みんなが笑ったら声をあわせて。時折自分の中でもぞもぞとうごめく何かを殺せば、それはそれでうまくやっていけるものと思っていた。うまくやっていくしかないのだ、と。

人が自らの意思でできるのは<人生ゲーム>でルーレットをまわす程度の選択にすぎないのかもしれない、と思うようになったのは、もっと後になってからのことだ。

網野智世子 評価

千佐堵はまっすぐこちらを見据えているけれど、私にはこのとき、彼女が目の前にいるわたしではなく、その背後にいる大勢に語りかけている気がした。千佐堵の言葉はいつもそうだ。そこに私しかいなくても、つねに見えない大多数へ発せられている気がする。

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